”ブーム”といわれる日本酒。テレビや雑誌、WEBのニュースなどを見て「日本酒飲んでみたいなぁ」なんて思っている方も多いことでしょう。

しかし、日本酒の魅力は奥深い反面、初心者にはちょっと難しいところもありますよね。

「どのように愉しめばいいかわからない」「どんなお店に行ったらいいの?」「種類が多すぎて何を飲んだらいいのかわからない」といった悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

そこで今回、SAKETIMESの女子スタッフが、日本酒ビギナーの代表として”日本酒を楽しめる店”をめぐり、注文の仕方から飲み方までをマスターしてきました。これを読めば、あなたも日本酒への道を一歩踏み出せるはず!

まずは若者の街・渋谷の「SAKESTAND」で日本酒のイロハを学ぶ

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渋谷駅から徒歩10分。道玄坂をのぼりきった先にあるこちらの「SAKESTAND」は、カジュアルな日本酒バー。奥行きのある店内は、オールスタンディングという気軽さから、渋谷の若者や外国人客にも大人気のお店です。

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店を切り盛りするのは、店主の野田由起子さん。これまで飲食店業界の2社で働き、2015年にようやくご自身のお店をオープン。野田さんの経験のもと立ち上げられた「SAKESTAND」には、居心地のよい工夫がたくさんあります。

ノーチャージ、キャッシュオン、オールスタンディングで、1/2合で390円か490円という価格設定。これらはすべて、気軽に日本酒を楽しんでもらうための工夫だそう。そんな野田さんに、日本酒の注文の仕方をレクチャーしていただきました!

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― 日本酒を飲むのはほとんど初めてです。まず1杯目にはどんなお酒を選んだらいいでしょうか?

「まずは聞いたことのある銘柄を教えてもらって、それ以外の銘柄に挑戦してもらったりします。『さっぱりした味』と『甘めの味』でどちらが好きかを聞いたり、日本酒がほとんど初めてという方なら、気に入ったラベルで選んでもらうこともあります。それでも迷ってしまうという方なら、アルコール度数が低めの飲みやすい日本酒をおすすめしています」

ジャケ買いもアリだなんて、なんだか日本酒を選ぶのが楽しくなりますね。今回は、「SAKESTAND」で常時置いてあるという「新政」を選んでみました。

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日本酒なのに、アルコールの強さよりも甘酸っぱさが印象的でした。苦味もほとんどなく、飲みやすい!

― このタイプのお酒には、どんな料理はあうのでしょう?

「フルーティーな甘さがあるため、なるべくお酒の味をつぶさない料理のほうがいいと思います。例えばポテトサラダや、レバーパテなど、味付けの濃くないものがおすすめです」

手作りレバーパテ(390円)

手作りレバーパテ(390円)

レバーパテのほどよい味付けと食べごたえのあるクラッカーで、お酒がすすみます!

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2杯目には、今の時期に旬なひやおろしのお酒をおすすめされました。

ひやおろしとは、春先に火入れ(加熱殺菌)をした段階では出荷せずに貯蔵し、秋になって2度目の火入れをせず、そのまま(冷やのまま)出荷するお酒のことだそう。今回選んだ「ゆきの美人 愛山麹 純米吟醸酒 ひやおろし」は、1杯目に飲んだ「新政」よりもさっぱりとしていました。

― 初心者でも"間違いのないお酒"を頼むには、どんな風に注文するのがいいでしょうか?

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「まずは店の人に、気軽に聞いてみるといいと思います。好みの味へ導いてくれたり、いろいろと教えてくれますよ。あとは、日本酒に氷を入れてロックで飲むのもアリだと思います。あまりルールに縛られず、自由な楽しみ方があるということを知ってもらいたいですね」

日本酒を気楽に楽しんでもらうために、スタイリッシュな空間づくりにもこだわっている「SAKESTAND」は、まさに日本酒デビューに最適なお店でした。

1軒目で日本酒を体験したところで、もっともっと日本酒の楽しみ方を知りたくなってきました! 次にご紹介する2軒目では、少しステップアップして、新しい飲み方に挑戦してみたいと思います。

「恵比寿 君嶋屋」で角打ちを初体験!

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「角打ち」とは、酒販店内での有料試飲サービスのこと。酒販店と聞くと、あまり”若者向け”というイメージがありませんよね。しかし、おしゃれな町・恵比寿の駅ビル「atre恵比寿 西館」で、気軽に「角打ち」を体験できるお店があるのです。

それが「恵比寿 君嶋屋」。ワイン、日本酒、焼酎を取り扱っている酒販店で、店内はとても洗練された雰囲気です。

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取り扱っている日本酒は、料理の味を引き立てる食中酒を中心に置いているそうです。奥のスタンディングバーでは、メニュー表の中からお酒を選んで飲むことができます。

そんな「恵比寿 君嶋屋」で、副店長の北村友浩さんに角打ちの楽しみ方や、日本酒の味の違いについて教えていただきました。

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― 今日、はじめて「角打ち」を体験するのですが……どんな風に楽しめばよいでしょうか?

「飲食店と違って、日本酒の味の違いを『気軽にサクッと』楽しめることが角打ちの魅力です。酒屋なので種類も豊富ですし、銘柄の入れ替えも多いので、いつ来ても楽しめると思いますよ。飲み比べセットも手頃な値段で用意しているので、ぜひこちらも試してみてほしいです」

ということで、まずは「3種飲み比べセット」で、日本酒の味の違いを学んでいくことにしました。

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セットの内容は、(左から)「綿屋 情熱 純米吟醸」「いづみ橋 情熱 純米無濾過」「大治郎 情熱 純米吟醸 生」でした。それぞれの味の特徴が明記されたシートも一緒に配られます。こちらの3種飲み比べセットのお値段は、なんと500円。これなら気軽に飲み比べができますね。

― それぞれのお酒の違いを楽しむには、どこに注目するといいでしょうか?

「まずは香りの強弱を確かめてみてください。結構違いが出ると思いますよ。そこからアタック(口に含んだ時の第一印象)から、最後に余韻に注目してみましょう」

言われたとおりに味わってみると……3種類ともまったく違うことがはっきりと分かり、初心者の私でも味の違いを楽しむことができました!

― 日本酒ビギナーにおすすめの1本はなんでしょうか?

「飲みやすいお酒として、後味がもったりしたものよりも少し発泡感があるお酒のほうがいいかなと思います。たとえば『風の森』とかですね。それと、味がはっきりしているお酒のほうが印象に残りやすいと思います」

「風の森 露葉風70% 純米しぼり華 無濾過無加水 生酒」

おすすめの「風の森」は、たしかにシャキッとしていてやや発泡感がありました。爽やかさが口いっぱいに広がります。

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合わせていただいた「生ウニといくらの冷製フラン」は、店長おすすめの一品。恵比寿にある日本酒×イタリアンの隠れ家的レストラン「ikra」のメニューです。ウニやいくらの濃厚な味わいが「風の森」のフレッシュさを引き立ててくれました。

「恵比寿 君嶋屋」では、恵比寿エリアを中心とした人気飲食店とコラボレーションをしており、各店のメニューが提供されています。洋風でモダンなおつまみは、どれも食中酒に合うものばかりです。

今回、「恵比寿 君嶋屋」で初めて角打ちを体験しましたが、おしゃれな空間で、かつ手頃な価格で飲み比べができるため、安心して楽しむことができました。また、恵比寿エリアの人気飲食店で提供されているメニューが味わえるのも「恵比寿 君嶋屋」の魅力です。日本酒といっしょに贅沢メニューを味わってみると、より楽しさが増しますね!

ビギナーが日本酒を楽しむには?

今まで日本酒は、"30歳過ぎくらいの大人が好きな嗜好品"だと思っていました。そのため「20代前半のビギナー女子が、ひとりで飲みに行っても大丈夫なものか……」と不安でしたが、今回の訪れた2軒でその心配はなくなりました。

日本酒にこだわるお店のスタッフには、日本酒をもっと若いお客さんに楽しんでもらいたいと思っている方が多くいます。そのため、初心者でも日本酒が楽しめるよう、提供スタイルや内観を工夫していたり、スタッフがいちからていねいに教えてくれたりします。

最初は誰でも初心者です。まずはいろいろ聞いてみて、少しずつ日本酒を体験していくことが、日本酒に詳しくなる一歩ではないでしょうか。

あなたも素敵な日本酒デビューをかざってみてはいかがですか。

(取材・文/SAKETIMES編集部)

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